少しずつかわってく
ドリーム小説
目が覚めたら、フェミニストなガルディオス伯爵が目の前にいた。
「……」
どうやら倒れたらしい。そして研究室の横に運ばれたらしい。私をディストが運んだらしい。死霊使いが休みをくれたらしい。死霊使いからそれを聞いて、律儀なガルディオス伯爵はお見舞いをしてくれてらしい。そして陛下も来たらしい。
…奇跡だ。色々と。
あのディストが私をベッドに運ぶということがまずあり得ない。以前は放置されたのでよくわかる。
死んだように眠って目覚めた先が倒れた部屋の床で、激しく体が痛んだので良く覚えたいる。
そして死霊使いがガルディオス伯爵に私の体調不良を話すことが信じられない。
研究者らしく人に興味のないだろうあの人がである。
陛下についてはもう何も言うまい。
ガルディオス伯爵に関してはそういう人だと納得できる。なんせあのエルドランドで思わず女性恐怖症なのに私の手を引っ張った人だ。
この人があの時動かなければ、私はおそらく死んでいただろう。シンクに似た崩壊にまかせた自殺で。あの時はそれぐらい虚無的だった。空白の未来に、選択できることに恐怖していた。
こんなにフェミニストな伯爵にして女性恐怖症である彼は、完全に治ったら一体どれほどの女性に言い寄られるのだろうか。
助けられた側だというのに、悪い人に引っ掛からないか心配になってしまう人だ。
無論、ヴァンが一度忠誠を誓った人だ…それだけの人じゃないだろうけれど。
ぐ〜とおなかが鳴った。
空腹らしい。
ガルディオス伯爵が笑いながらパンをくれた。
しかも出来立て。
何ていい人だ。譜業の話ぐらい何時でも付き合ってあげよう。
食べながらでいいなら。
それからまた昏々と眠って起きると、今度は死霊使いがいた。
ガルディオス伯爵とは違って少し覗きに来たといった感じだったが。
私を見ると、おやとわざとらしく驚いた顔をされた。
「……何か手伝うことでも出来ましたか」
それぐらいしかこの人が私に会いに来る用事は無いと思うのだが。ガルディオス伯爵や陛下じゃああるまいし。
にっこりと死霊使いは笑った。
「。あなた、ガイの所に世話になりなさい」
「………はい?」
ガイというのはここの監視員のガイレイさんではなく、まさか女性恐怖症で素敵なガルディオス伯爵ですか。